2025年 胆道がんの生存率倍増にむけて

 

2025年 胆道がん5年生存率倍増にむけて

~ゲノム医療をすすめよう~     

米国ではオバマ大統領によって「難治性がん研究法」が制定され、さらに「プレシジョンメディシンイニシアティブ(PMI)」がスタートしました。その結果、 2017年から米国ではいよいよ難治性がんの領域においてもゲノム医療がスタートします。がん患者のがん細胞の遺伝子を解析し、遺伝子変異にあわせて治療法を選択する治験が12施設でいま始まろうとしています。これはがん医療のパラダイムシフトを意味します。米国膵臓がん患者団体の最大手、膵臓がんアクションネットワークでは2年前からその準備として、バイオバンクを整備し、がん患者さんの検体を解析したデータを集積して、その結果、患者の多様な遺伝子変異の情報をもとにして、遺伝子変異に対応する医薬品を選択し、治療をすすめます。これにより、全員に同じ医薬品を投与して、3割の人に効果はあるが、それ以外の人には効果がないという状況を避けることができます。ひとりひとりに最適な治療を行う、個別化医療がすすみます。

当患者会では胆道がんの研究促進にむけた政策提言活動をすすめてまいりましたが、ゲノム医療元年と言われる2017に胆道がん患者のためにゲノム医療を実現するべく活動をスタートします。


胆道がんのゲノム医療を日本で実現するためには、肺がん、大腸がんなどの消化器がんで行われている国立がん研究センターのSCRUMプロジェクトのようなスキームを参考にしつつ、胆道がんのゲノム医療体制の構築を進めることができるかと思います。バイオバンクを含め、関連するさまざまな課題も解決する必要があります。「改正がん対策基本法」に難治性がんの研究促進が明記されたこと、米国政府のバイデン元副大統領のイニシアティブによるがん克服を目指した「キャンサームーンショットプロジェクト」に日本政府が参加表明したこと、塩崎厚生労働大臣がゲノム医療をすすめるためにコンソーシアムを夏までに立ち上げると決意表明したことなど、すべてが追い風です。そして米国パンキャンによる膵臓がんのゲノム医療が進むことで、貴重な治験計画書、ゲノム医療に必要な施設の情報など、参考となる情報も入手可能となり、日本の胆道がん患者さんにゲノム医療をいち早く届けるために何が課題で、何をしなければならないかがわかると思います。

3月に国立がん研究センター日本臨床腫瘍グループ(JCOG)の肝胆膵グループと第一回の相談会を行う予定です。

生存率の向上につながる明るいニュースを胆道がん患者さんやご家族にいち早く届けるために、当会として日本において胆道がん患者さんの治療の選択肢を増やし、生存率向上が期待できるゲノム医療をすすめるために邁進したいと存じます。

皆さまのご支援、ご協力をお願いいたします。

 
日本胆道がん患者会

代表世話人  眞島喜幸