脂肪肝

脂肪肝(脂肪変性)は、肝細胞の内部に脂肪(中性脂肪)が過剰に蓄積した状態です。脂肪肝の人では、疲労や腹部の軽い不快感が生じることがありますが、それ以外の症状はみられません。診断を確定するため、または有用な情報を得るために肝生検が必要になるでしょう。治療では、脂肪肝を引き起こしているアルコール摂取などの原因を取り除きます。

欧米では脂肪肝の原因として最も多いのが、アルコール依存症、毒物、特定の薬物、遺伝性の代謝疾患、さらには過剰な体重、インスリン抵抗性、血液中の中性脂肪値の上昇などです。こうした複数の代謝異常が同時にみられる状態は、メタボリックシンドロームと呼ばれます。この状態は、体内での脂肪の合成量が増加するか、脂肪の代謝と排出の速度が遅くなるかして、肝細胞に脂肪が蓄積されます。その結果肝細胞にたまった脂肪は、その後も保持されます。脂肪分の多い食事をすれば脂肪肝になるというわけではありません。

脂肪肝は炎症を起こすことも起こさないこともあります。炎症から線維症になることがあります。線維症はしばしば肝硬変に進行します。アルコール依存症以外の原因で生じた脂肪肝は、線維症の有無にかかわらず、非アルコール性脂肪性肝炎と呼ばれます。この疾患は、メタボリックシンドロームの人に最もよくみられます。



●脂肪肝の一般的な原因

アルコール依存症

代謝異常
過剰な体重
インスリン抵抗性(糖尿病の場合など)
高い血液中の中性脂肪濃度


アスピリン
コルチコステロイド
タモキシフェン
テトラサイクリン

妊娠

毒物

ウイルス

 

●症状と診断

通常、脂肪肝は症状を起こしません。疲労や漠然とした腹部の不快感を感じる人もいます。肝臓の腫大が起こりやすく、診察の際にみつかることがあります。脂肪肝が疑われる人には、飲酒についての質問が行われます。この情報は非常に重要です。継続的な過度のアルコール摂取は、肝臓に重大な損傷を与えます。

このタイプの肝炎は肝硬変につながる場合があるため、炎症などの肝臓の異常を検出する血液検査が重要です。別の血液検査は、肝臓の異常を引き起こす他の原因であるウイルス性肝炎などを除外するのに役立ちます。腹部の超音波検査やCT検査、MRI検査は、肝臓にたまった過剰な脂肪を検出できますが、炎症や線維症の有無を判定することはできません。

診断の確定に肝生検が必要なこともあります。生検では、痛みを抑える局所麻酔を施した後、長い中空の針を皮膚に刺して挿入し、肝臓に到達させて顕微鏡で調べるための小さな組織片を採取します。生検は脂肪肝の有無、原因がアルコールか他の特定の要因か、肝臓の損傷はどの程度かという点を判定するのに有用です。

 

●予後と治療

肝臓への過剰な脂肪の蓄積だけなら、必ずしも深刻な問題とは限りません。たとえば、アルコール依存症が原因の場合、飲酒をやめれば、通常は6週間以内に脂肪の蓄積は解消します。原因が特定されず、未治療だと、脂肪肝は重篤な結果を招きかねません。たとえば、過剰なアルコール摂取や脂肪肝を引き起こす薬物の使用を止めない場合、繰り返し肝臓の損傷が発生し、やがては肝硬変になります。

治療は、脂肪肝の原因を減らす、もしくは除去することに重点がおかれます。患者は、薬物の使用中止する、減量する、糖尿病コントロールの対策を行う、中性脂肪値を減らす、禁酒するなどを実行すべきです。

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