AACR:コロナウイルスは癌の臨床試験に影響を与える

AACRの雑誌 CancerTODAYの記事ー

「コロナウイルスは癌の臨床試験に影響を与える」

米国国立癌研究所(NCI)および食品医薬品局(FDA)は、新型コロナウイルス感染症の蔓延の中で臨床試験を管理するためのガイダンスを提供しています。米国のがんセンターは、試験に登録されている一部の患者のケアに変更を加えています。

2020年3月24日

著者 アンナ・アズヴォリンスキー

 CancerToday April2020

Nordrodenによる画像/ iStock / Getty Images Plus

 

米国におけるコロナウイルスの継続的な蔓延と増加するCOVID-19の症例に対応して、国立癌研究所(NCI)と食品医薬品局(FDA)は、臨床試験を実施している企業と管理している医師のための試験中の患者および研究への患者の募集に関する「実用的なガイドライン」を発表しました。

AACRの雑誌 CancerTODAYの記事ー

「コロナウイルスは癌の臨床試験に影響を与える」

米国国立癌研究所(NCI)および食品医薬品局(FDA)は、新型コロナウイルス感染症の蔓延の中で臨床試験を管理するためのガイダンスを提供しています。米国のがんセンターは、試験に登録されている一部の患者のケアに変更を加えています。

2020年3月24日

著者 アンナ・アズヴォリンスキー

 CancerToday April2020

Nordrodenによる画像/ iStock / Getty Images Plus

 

米国におけるコロナウイルスの継続的な蔓延と増加するCOVID-19の症例に対応して、国立癌研究所(NCI)と食品医薬品局(FDA)は、臨床試験を実施している企業と管理している医師のための試験中の患者および研究への患者の募集に関する「実用的なガイドライン」を発表しました。

 

2020年3月18日にリリースされたFDAのガイダンスは、意思決定の指針となる原則として患者の安全を強調しています。当局は、コロナウイルスのパンデミックに照らして、新しい患者を募集するか、患者に治験薬を与え続けるかについて選択をする必要があるかもしれないと指摘しています。患者の監視方法の変更も必要になる場合があります。 FDAは、患者に影響を与える可能性のある研究およびモニタリング計画の変更について患者は通知を受ける必要があるとFDAは書いています。

 

2020年3月13日に発表された覚書では、NCIのディレクターがNCI内の2つの臨床試験グループに取り組み、臨床医が試験の実施方法を適応させる方法を列挙しています。このドキュメントは、臨床医が患者を新しい臨床試験サイトに転院する方法、指定された試験サイトに行くことができない患者の治療と評価を地域の医療提供者に依頼する方法、および経口投与の治験薬を直接患者に送付する方法、それらのどれも標準的な実践方法ではありません。

 

臨床試験の患者の場合、治療または経過観察のメリットをそのために医療施設に来て、コロナウイルスにさらされるリスクと比較検討する必要があります。「NCI、FDA、および私たちのInstitutional Review Board(IRB)からのガイダンスは、私たち全員が行う必要があること、患者の訪問を最小限に抑えること、と一致しています。」と、臨床試験のチーフでナッシュビル市のヴァンダービルト・イングラムがんセンター泌尿生殖器癌専門とする腫瘍内科医ブライアン・リニ氏を説明します。 「これは、ケアを必要とする症状のない、定期的な通院のための患者は、くるべきではないことを意味します。」がんセンターはすでに、患者の訪問を最小限にするために取り組んでいます。これには、テレワークを使った遠隔医療による訪問数の増加や、定期的なフォローアップ訪問のスケジュール変更が含まれます。臨床試験の患者にも同じ規則が適用されます。

 

「私たちはすでに治療を続けている個々の患者の利益と、感染症を発症し、感染症で死亡する可能性のリスクについて話し合いを続けています」とリニ氏は述べています。 「私たちはこれらの問題について普通に考えていますが、このパンデミックはこれらの選択肢を本当に強化し、拡大しています。」

 

FDAガイダンスは、経口治験薬を患者に直接発送するなど、臨床試験の新しいオプションを可能にします。 Cancer Today誌記者が3月18日に電話でリニ博士に質問したとき、彼は、現在臨床試験で経口治験剤の投与を受けており、自宅で治療継続するために経口治験薬を出荷できる治験患者を特定するためのロジスティックスについて会議したところだとのことでした。点滴薬は出荷できませんが、FDAは、出張看護師による在宅点滴や、ローボリュームの臨床施設における点滴投与などの代替案を提案しています。 リニ氏によれば、米国の現在の法律では州の境界を越えて治験薬を発送するには制限があるので、その制限を撤廃する必要があります。

 

「[試験薬の発送]は患者ごとではなく、システム全体の計画として行いたいと考え、現在取り組んでいます」とリニ氏は言います。 「次の2か月間、治験患者を対象に約500回の通院が計画されており、これを設定することで回避できる可能性があります。」COVID-19の症例数がまだ少ない地域の病院は、COVID-19症例数が高い地域にある病院の対応から学んでいます。 「幸いなことに、ナッシュビル市は、現在、新型コロナの震源地ではないので、患者を管理するために学際的な内部呼び出しをセットアップしています。さらに、私たちの学際的チームは、国内および国際的にこのパンデミックの震源地にいるチームと相互に学習するための対話をしています」と、ヴァンダービルト・イングラムがんセンターの最高医療責任者である移植医マダン・ジャガシア医師は述べています。

 

製薬会社も臨床試験に関するガイダンスを発行しています。たとえば、ブリストル・マイヤーズスクイブ社は、少なくとも2020年4月13日までは新しい試験サイトや臨床試験が開始されないことを発表し、COVID-19症状のある患者またはPCR検査陽性と判定された患者は感染が解消するまでは治療すべきではないと述べています。

イリノイ州を本拠とするContinuum Clinicalが実施した米国170の臨床試験サイトに対する継続的な調査では、3月17日現在、平均39%の試験サイトがすべての治療領域での臨床試験への患者登録と患者の保持の両方に「大きな」または「非常に大きな」影響があると述べていることを示しています。がんの臨床試験サイトでも、約37%の施設が「大きな」または「非常に大きな」影響があると述べています。

 

ニューヨーク市のマウントサイナイヘルスシステムでは、「標準治療を利用できる患者を対象とした進行中の試験は登録を中止し、他の治療法がない患者に治療を提供する試験においては引き続き患者登録を続けています 」と緩和医療の医師であり、研究者であり、マウントサイナイのがんサービスの品質担当ディレクターであるカーディナルBスミス氏は述べています。

パンデミックの結果として、がんセンターはもはや新しい臨床試験を開始していません。 「これは労働力の問題でもあります」とスミス氏は付け加えます。 「臨床試験には多くのスタッフが必要ですが、私たちの看護師や医師は、感染しているか、学校閉鎖の結果、育児の問題に対処するためにほとんど病院にでてこれません。今は限られたリソースで患者ケアの重要な機能を維持する必要があります。」

 

著者のアンナ・アズボリンスキー氏はニューヨーク在住のサイエンスライターです。

記事ここまで。

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Source: AACR Cancer Today https://bit.ly/3aGYZW7


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米国パンキャン本部の代表ジュリーフレッシュマン氏、パンキャンジャパンの眞島喜幸氏は共に、米国癌学会AACR Cancer TODAYの編集諮問委員です。この記事は、編集諮問委員の提案により執筆されました。