原発性硬化性胆管炎

原発性硬化性胆管炎では肝臓内外の胆管に炎症が生じ、繊維化や胆管の狭窄が進行します。最終的には影響を受けた胆管が完全に詰まります。肝硬変、肝不全、またときには胆管癌が発生します。

症状は徐々に現れ、疲労やかゆみの悪化がみられるほか、後に黄疸が生じます。
画像検査で診断を確定します。
主に症状を軽減する治療を行いますが、肝臓移植によって寿命を延長することも可能です。

原発性硬化性胆管炎では、繊維化が進行し、最終的に重症の肝硬変になります。繊維組織は胆管を狭め、塞いでしまいます。その結果、脂肪の吸収を促進する胆汁酸塩が正常に分泌されなくなります。この疾患は原発性胆汁性肝硬変に似ていますが、肝臓内だけでなく、肝臓外の胆管にも影響が及ぶ点が異なっています。原因ははっきりしていませんが、免疫系が自分自身の組織を攻撃する反応、自己免疫反応だと考えられます。

原発性硬化性胆管炎は30〜60代の若い男性に多くみられます。また炎症性腸疾患、特に潰瘍性大腸炎の患者に多く発症します。家族内で発症する傾向があります。特定の人では、胆管の感染症や損傷によってこの疾患が誘発されます。胆管を広げるステントの留置などの内視鏡手技の実施中に、胆管が傷つくこともあります。

●症状

通常は、徐々に始まり疲労感とかゆみが悪化していきます。その後、皮膚や白眼の部分が黄色くなる黄疸の症状が発生します。

手技の実施中に胆管が損傷すると、細菌性胆管炎という胆管の炎症と再発性感染症が発生することがあります。細菌性胆管炎は上腹部の痛み、黄疸、発熱を引き起こします。

胆汁酸塩が正常に分泌されないと、脂肪と脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の吸収が不十分になります。胆汁分泌に障害が起きると骨粗しょう症になり、あざや出血が生じやすくなり、脂っぽく悪臭のある便(脂肪便)が出るようになります。胆石や胆管結石ができることがあります。肝臓や脾臓の腫大もみられます。

疾患が進行すると、肝硬変の症状(脂肪肝、肝硬変、その他の関連疾患: 症状を参照)が現れます。進行した肝硬変は以下の症状を引き起こします:

血液を腸から肝臓に運ぶ静脈の血圧上昇(門脈圧亢進症)
腹腔内での体液の貯留(腹水)
肝不全(死に至る場合もある)

疾患が進行して肝硬変が生じるまで症状が現れない人もいます。長ければ10年間、症状がみられない場合もあります。

原発性硬化性胆管炎の患者の10〜15%に、胆管癌が発症します。

●診断

定期的な健康診断もしくは別の理由で実施された肝機能検査の結果、異常がみつかり、この疾患が疑われることがあります。まず超音波検査を実施して、肝臓外の胆管に閉塞があるかどうかを確認します。以下の検査を実施して診断を確定します:

  • ◆磁気共鳴胆管膵管造影法(MRCP):MRIを使用して胆管と膵管の画像を撮影します。この検査は、原発性硬化性胆管炎の診断を確定し、胆管閉塞の他の原因を除外するために有用です。
  • ◆超音波内視鏡検査:柔軟な観察用チューブ(内視鏡)を口から挿入し、胃および小腸上部まで通します。チューブ先端についている小型の超音波プローブで画像を撮影します。
  • ◆内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP):内視鏡を介して胆管内にX線撮影用の造影剤を注入し、その後X線撮影を行います(肝臓、胆嚢、胆道の病気の診断: 画像診断を参照)。ERCPは体の負担が大きく、造影剤を注入する必要があるため、MRCPのほうがより望ましい方法と言えます。しかし、ERCPは治療に用いることもできます。


原発性硬化性胆管炎の診断が確定した人は、この疾患の進行を監視する検査を毎年受けなければなりません。MRCPは胆管癌の有無を調べるために定期的に実施されることもあります。

●予後と治療

原発性硬化性胆管炎は、通常は徐々に悪化します。診断から12年ほどで肝不全が発生します。

ウルソ・デオキシコール酸という薬物が、かゆみの軽減に役立ちます。再発する細菌性胆管炎は抗生物質で治療します。閉塞した胆管は、ERCPの実施中に拡張される場合があります。場合により、胆管を広げておくためのステントを一時的に挿入します。

肝臓移植は、延命する唯一の治療法です。移植によってのみ、一部の原発性硬化性胆管炎は治癒できます。肝硬変で重度の合併症が発生している人や細菌性胆管炎が再発している人には、肝臓移植が必要な場合があります。

胆管癌が生じているが、それを切除する手術が実施できない場合、癌によってふさがれている胆管に内視鏡を介してステントを設置します。設置されたステントが胆管を開きます。

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